「ただ、愛されたかった」 過去形の掠れた言葉が、頭の奥にじんと響く。上手に伝えられなかったアイシテル、は、 きっと空回りをしてどこかに飛んで消えてしまった。あんなに溢れるほど持っていたのに、届くこともなく。

No.10

揺るがない気持ちなんて、 そんなの、きっと何処にもないのに。 判ってるのに求めてしまう。 この恋に終わりがないことを。 ぬくもりが途切れないということを。

No.9

不安に駆られて零した「好き、」は 雲のない夜の月みたいに何処かひんやりしている。

No.8

多分、今の私は、 見えるより冷静ではなくて、もっというと頭にきていて、 だからこそ静かに微笑んでいられる。 この微笑みは許しではないよ、 貴方を諦めた証だ。 理解を諦め、ねぎらいを諦め、やり場のない愛情を諦めた。 自分の感情を持て余した。 貴方は…

No.7

思うように産まれてこれなくても、 生きられなくても、死ねなくても、 通過点である今はとりあえず幸せだから、 この幸せを忘れない人でいたいと願う。 優しい人で在りたいと願う。

No.6

どんなに喧嘩しても、嫌いになりたくても、忘れてしまいたくても、 円を描くように綺麗な形をして私の気持ちは貴方に舞い戻ってしまう。 苦しい、辛い、辞めたい、 ・・・あいたい。

No.5

大丈夫、の影に潜む強がりを、本当は見抜いてほしい。

No.4

ポケットに手を入れて歩く癖がついた。貴方がそうしていたから。 本屋に行くと最初にミステリー小説を探すようになった。貴方が好きだったから。 街を歩くとき車のテールランプを見て車種が言えるようになった。貴方が教えてくれたから。 気づくと振り向きな…

No.3

貴方に恋しよう、と意気込んでいた自分に気づいて愕然とした。 なんてことだ、こんなものは恋じゃない。

NO.2

思うんだ、自分はいつもひとりなんじゃないかと。 携帯のメモリには溢れるほど名前が登録されているのに、 センチメンタルな感情を抱いた瞬間、その名前は意味を持たなくなる。 これだけ地球上には人がいて、僕のことを知っている人もきっと沢山いるはずなの…

No.1

消えていった気持ちに意味はあるのだろうか。 深夜に帰宅し、赤く点滅する電話機の留守電ランプを見て、思わずため息が零れる。 今時、僕に連絡が取りたいならば、自宅ではなく携帯電話にかけてくるであろうことは理解している。きっと再生しても流れるのは…